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羊歯(シダ)とは?心を豊かにする「日本の文様~羊歯文」

「羊歯」と書いて、「シダ」と読みます。

3月最後の日、皆さまはいかがお過ごしですか?ニュースでは、色々な情報が飛び交い、心が沈みそうになりますが、少しでも着物が、心の栄養になっていただけたらと思い、日本人の智恵を思い出しながら、文様の意味をお伝えしていこうと思います😉

春は、さまざまな木々が芽吹く季節ですね。今年は冬が暖かかったため、山菜の時期も早く、食卓にのぼっていることと思います。

今日、ご紹介するのは、羊歯(しだ)柄の染め帯です。

「羊歯(シダ)」とは、シダ類に属する総称で、春に芽吹くものが多い植物です。
シダは、漢字で「羊歯」と書きますが、それは、若芽が羊の角のように巻いているように見えるからだと言われています。

羊歯植物は、葉の裏側に胞子を作り、花や種がないことから、「霊草」といわれていました。「霊草」とは、神仏の加護を受けられるめでたい草のこと。なんだか、それだけでも、とてもありがたい気持ちになりますね。

しかし、羊歯には、まだまだ意味があります。
解熱や下痢止め、胃腸薬など薬草として使われていたこと
そして、ぐんぐん育ち、生命力にあふれた姿は、私たちに生きる力を与えてくれたことと思います。
だからでしょうか、日本では、古来より繁栄や長寿を意味する植物として、「共に白髪が生えるまで」の意味を持つ「裏白」が、お正月に飾る鏡餅や、しめ縄などの飾りに使われてきだのです。

日本人は、柄に意味を持たせ、己を、大切な人々を見えない力で守ってきました。
「羊歯柄」が、少しでも、心のお力になれれば幸いです💕
一日も早い収束を願いつつ、皆さま、どうぞご自愛下さい❣️

この記事を書いた人

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谷 加奈子

丸や呉服店 代表

東京都出身。 大学卒業後、大手メーカーのSEとして就職。 1995年、東京・大田区西蒲田に店を構える1926年創業の「丸や呉服店」の三代目として 家業に入る。2016年、着物をファッションだけではなく、もっと広い意味で伝えたく、「表に立つ人を輝かせる」という想いを載せて一般社団法人「着物道」を設立。
代々受け継がれてきたノウハウを生かして 「自分に似合う着物がわからない・・・」と いう悩みや「キレイに着るコツ」 など、着物 雑誌「七緒」「きものサロン」を始め、新聞や テレビ・ラジオなど多岐にわたって「着物生活」 の専門家として活躍中。