日本古来の行事や文化、伝統、風物など 日常の中にそこはかとなく感じる「和の心」を |
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---------------------------------------------------------------------- ◇◆◇[名水]◇◆◇ 私たちの生活になくてはならない「水」 日本には、「名水」があるあらこそ、生活に潤いがあったのですね。 ---------------------------------------------------------------------- かつて、日本には井戸があり、美味しい水をいつでも飲むことができました。 ミネラルウォーターに頼ることもなかったのに・・・今では当たり前。 今回は、日本の水 「名水」をお届けします。 私たちが普段口にしている水。都会では、蛇口をひねって水を飲む習慣がなくな ってしまっていますが、自然界を循環して私たちのもとに届けられています。 自然界の循環は、まず海の水が太陽によって熱せられ蒸発。雲となり、雨や雪と なって地表に落ちてくる。地表に落ちた水は、源流となり河川へと流れて湖にな ったり、湧き水となったり、地下水として流れたりします。やがて、それらは海 へと戻っていく・・・こうして循環している水を私たちは利用して飲んだり、生 活に使ったりしているのです。 そして、そんな中に「名水」と称される水が存在します。 「名水」とは、名高い清水。茶の湯や酒造りに適した良い水。そして、有名な川。と辞 書にあります。ただ単に「おいしい水」という意味ではないようです。 環境省によると 1985年3月に全国名水百選を選定の際、基準は「水質・水量・住民活動・ 規模・故事来歴・希少性」とされています。つまり、歴史的経緯があり、いかにその水 環境を現在も保護しているか・・・が基準となっているのです。現在では、飲み水に適 していないものもありまが・・・その話はさておき。 皆様ご存じ、水には軟水と硬水があります。水に含まれる硬度(鉄分や硝酸・マンガン などのミネラル分のこと)の総量によってわけられます。最近、店先で販売されている 水には、ミネラルが豊富のものもありますね。硬度の低い水は癖がなく、飲みやすい。 反対にカルシウムよりもマグネシウムの多い水は苦みを増すと言います。ヨーロッパの 水はマグネシウムが多いからか、あまり美味しいとは言われていないみたいです。 日本に軟水が多い理由は、火山が多いため。火山灰にはミネラルが少なく、また平地が 少なく険しい山が多いために、雨水が地中に浸みる前に流れてしまうからなのです。 名水百選の7・8割が軟水なのもうなずけます。 軟水には炭酸イオンが溶け込んでいるので清涼感があります。冷やした方が美味しく、 また後味が甘いのが特徴です。童謡に「ほっほっ ホタル来い こっち水は甘いぞ・・・」 という歌詞がありますが、軟水の甘さを伝えたものだったのです。 そして、この軟水こそが日本の食文化を支えてきたのです。 日本全国、「名水」と呼ばれるところが何カ所もありますね。「名水」のあるとことでは、 酒が美味しい、お豆腐が美味しい、良い染めができる・・・など、「名水」あってこそ、 味や伝統を守ってこられたといっても過言ではありません。 特に京都では、由緒ある、伝統を支えた、老舗の味を守った「名水」があります。 京都三名水・御所三名水・西陣五水・都七名水・伏見七名水・・・ それぞれの「名水」は、井戸によって汲み上げられています。 京都三名水を上げてみると、梨木神社にある「染井」。宮中の染所が使っていたといわれ る井戸。この井戸の水を使うと色鮮やかに染め上がったといいます。今も古い井戸は残 っていて自由に飲むことができます。 梨木神社 → http://www.kimono-maruya.com/mv/?102 そして、亀屋良長本店にある「醒ヶ井(さめがい)」。室町時代に茶祖村田珠光が時の将 軍足利義政に献茶した際、水を汲んだとされる「佐女牛井(さめがい)」を由来としてい ます。千利休も愛用したといわれる名水です。ただ、残念なことに昭和 37年頃から水が かれてしまい、現在は飲むことができません。 亀屋良長本店 → http://www.kimono-maruya.com/mv/?103 そして、最後が、京都御所内にある「県井(あたがい)」。役人が昇進を願って身を清め たといわれています。京都御所には、その他に染めに使われた「染殿井(そめどのい)」 明治天皇が産湯に使ったたといわれる「祐井(さちのい)」があり、これが御所三名水と 呼ばれています。ただ、こちらも現在は残念ながら枯れて飲むことはできません。 先日NHK教育テレビだったと思うのですが、京都の地下水のことが取り上げられてい ました。地下鉄ができ、地下水の水路が寸断され、枯れてしまったり、井戸を更に深く 掘らなければいけなくなったり・・・という問題が起きているようです。 私たちの大切な水。美味しい水が日本の自慢であったはずなのに、近代化によって失わ れていく・・・なんとも悲しい現実です。便利がいいのか・・・守ることが大切なのか・・・ もっともっと考えていかなければいけないことなのだと思います。 「名水」があったからこそ、守ってきたもの・・・失ったものは、きっと取り返しのつ かないもの。そんな時代がこないことを願っています。 ◇◆◇ [名水]といえば何を思い出しますか ◇◆◇ 「名水」といえば、お茶の世界に「名水点(めいすいだて)」というものがあります。私 は、そのお手前を経験したことはないのですが、普段使う水ではなく、由来のある「名 水」を使って行われるお手前をいいます。 夏場に限ったお点前ではないのですが、水が美味しい夏に行われることが多いお手前で す。水を入れる茶道具の「水差し」にしめ縄を張ってお客様を迎え、お客様は名水のも てなしの返礼として濃茶(薄茶はないそうです)を点ててもらうのですが、その前にま ず水そのものを所望して味わう作法なのです。 茶人は、それだけ「名水」を大切に思っていたのです。 また、格言に「茶は土地の水で飲め」とありますが、お茶に限ったことではなく、水が 変われば、味も違い、また染め物の色も変わってきます。その土地の水だからこそ、そ の土地ならではの味や産業が生まれてきたということですね。 最近では、井戸を見ることも珍しくなりましたが、昔から守られてきた大切な水を私た ちも守っていかなければいけないと、改めて思います。ミネラルウォーターに頼ってい るなんて、本当は情けないのですよね。
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