着物専門店「丸や呉服店」着物専門店「丸や呉服店」

12月1日(月)〜6日(土) 栗山工房・紬展

 

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◇◆◇[勧進帳(かんじんちょう)]◇◆◇

 誰もが知っている歌舞伎十八番「勧進帳」

 何回観ても、心打たれてしまうのは、役者がすばらしいから???

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「勧進帳」、一度は観た事ありますか?

観た事なくても、ストーリーは知っています!そんな声が聞こえてきそうですね。

今回は、ここがみどころ、「勧進帳」をお届けします。

歌舞伎、歌舞伎・・・と最初から連呼していますが、まずは、「勧進帳」の意味か

ら。

「勧進帳」とは、寺院や仏像等の建立などに必要な費用の寄付を求める際に使用

した趣意書(しゅいしょ)のこと。趣意書とは、物事を行おうとする際に、その

趣旨を書き記した文書のことをいいます。

この「勧進帳」、歌舞伎の演目の一つで、初代市川団十郎が西暦 1702年2月初演

の「星合十二段」に取り入れたのが最初とされています。しかし、その時の台本

が残っていなかったため、現在の「勧進帳」は、西暦 1840年、七代目市川団十郎

が作り直し、江戸の河原崎座で、初演されたものとなっています。

舞台は、平安時代。源平の戦い(壇ノ浦の合戦)で、平家を滅ぼした源義経は、

後白河法皇の奸計(かんけい:わるだくみ)にはまり、兄源頼朝の嫌疑を受けて

しまいます。そして、追い討ちをかけるように讒言(ざんげん:あることない事

言いふらすこと)によって、ついに「義経捕縛の命」が下ったのでした。

都落ちした義経は、少数の者を連れ、かつて世話になった奥州平泉の藤原氏の元

へ落ちのびようとします。義経一行は、逢坂の関を越え、琵琶湖を渡り、海津の

浦に着きます。その先の詮議(せんぎ)の厳しさを考え武蔵坊弁慶たちは山伏姿

となり、主君義経は強力 (ごうりき)に身をやつして人目をくらます策を取ります。

北陸道を北へ進み、安宅の関(現在の石川県)へ。ここは、源頼朝の命によって、

設けられた新関所。関主は、富樫左衛門。すでに義経一行が山伏姿であることは

知られており「東大寺の勧進僧」と名乗る一行を富樫は通すわけにはいかないと

言い張ります。

そこで、弁慶は「最後の勤めを」と願い出、弁慶たちが神妙に祈る姿は崇高で、
人の心を打ちます。富樫はこの殊勝な心に報いようと、弁慶に勧進の趣旨が書か
れた勧進帳を読めと命じます。もとより勧進帳などあるわけなどありません。

しかし弁慶は持ち合わせの巻き物を一巻取り出すと、勧進の趣旨を即興ですらす
らと読み上げます。その姿を見て富樫は一行を信じると言いますが、念の為に山
伏のいわれ、扮装、心得、そして秘術を事細かに尋ねます。弁慶はもともと三塔
の遊学僧、修験道にも通じていましたので富樫の難しい問いにもよどみなく答え
ていきます。富樫はもう疑う余地もなく、勧進の布施物を進呈して、一行を通し
ます。

これでこの関は通れる、と安堵した心を隠して一行が通過しようとすると富樫は
刀に手を掛け、強力を呼び止めます。義経に似ていると、番卒の一人が目ざとく
見つけ、進言したのです。

見破られたか ‥‥と関守を殺して逃げようとする家来たちを弁慶は必死で抑え、
富樫が見ている前でいきなり「わずかな荷を重そうにして遅れてくるから疑われ
るのだ」と主君義経を金剛杖で打ちすえます。弁慶、断腸の思いでありました。

それでもなお弁慶の疑いを晴らすため、弁慶は大賭をします。「それほどまでに
疑うのなら、この強力を置いてゆくから納得のいくまで問いただしてください。
あるいはこの場で殺してみせましょうか」と。富樫はすべてを悟り、自分の命を
捨てる覚悟で一行の通行を許します。

安宅の関を通過した後、皆は弁慶の機転を褒め讃えます。しかし弁慶は関守を欺
くためとはいえ主君を打った罪の大きさに打ち震え、頭を垂れて泣き崩れます。
しかし義経は、弁慶の労を優しくねぎらうのでした。

長居は無用。一行が腰を上げたとき、富樫が酒をもたせて現れ、無礼の詫びに一
献差し上げたいというのです。別れの盃という富樫の思いを弁慶は察し、身を捨
てる覚悟で示してくれた温情に心の中で深く感謝し、弁慶は喜んで大盃を傾け、
所望に応えて延年の舞を披露します。義経一行を先に発たせ、弁慶は主君の姿が
遠ざかって見えなくなるのを見計らって、富樫に暇を告げ、一行の後を追ってい
くのでありました。

これが歌舞伎「勧進帳」のあらすじです。

さて、この「勧進帳」、実は室町時代に作られた能の「安宅(あたか)」を参考に

して作られています。よく、能と歌舞伎の対比が論じられますが、ここでその違

いをご紹介したいと思います。

まず、作られた時代。能は室町時代。そして歌舞伎は江戸時代。この時代の差は、

そのまま舞台に反映されています。

能「安宅」は、主人公は弁慶、ただ一人。室町時代 や作中の時代である鎌倉時代、

関所破りはそれほど重い罪ではなく、また幕府による御家人の統制もそれほど厳

しくなかったため、関守である富樫の人物像についてあまり注目されていません

でした。また、室町時代は、人間の情というものを重要視していなかった時代。

富樫は、弁慶の山伏を討てば熊野権現(熊野三山に祀られる神様)の仏罰があた

る。」とおどされ、その迫力に押され、関を通してしまう・・・というちょっと情

けない男として描かれています。

それに対し、歌舞伎の「勧進帳」は、江戸時代。関所破りは重罪。しかし、弁慶

の主君を思う心に感動し、自ら重い罪を犯してまで、義経一行を通してしまう・・・

という情の厚い人物として富樫が描かれ、また、弁慶とのやりとり、心の有り様

が中心になって主役である弁慶とともに脇役として重要な役となっています。

そのため、最後に弁慶と酒を酌み交わすシーンで、能「安宅」は、弁慶を疑い、

隙あらば・・・と狙っているのに対し、歌舞伎「勧進帳」では、弁慶は、富樫の

心に感謝し、また、富樫は、非礼を詫びる・・・人情を感じさせる場面となって

います。

いつの時代でも歴史は、解釈によって違うことがありますが、能と歌舞伎・・・

時代によって表現の仕方が違うなんて、興味深いところですね。今まで、歴史に

乗っ取って観ていた歌舞伎も視点を変えることによって、また新たな発見ができ

そうです。

みなさんも、参考になさって下さいね。

◇◆◇ [勧進帳]といえば何を思い出しますか ◇◆◇

「勧進帳」といえば、やはり弁慶。

義経の物語でありながら、義経を支えてきた弁慶を中心に歌舞伎も能も描かれて

いますね。弁慶の存在は、義経にとっても大きなものでした。

最近では、NHKの大河ドラマで弁慶役を松平健さんが、そして、現在公演中の

歌舞伎では弁慶役を市川海老蔵さんが、演じています。

私の大好きな中村吉右衛門さんも、先日演じていました!

さて、 弁慶は古くから豪傑の代名詞として用いられていますが、それに因んだ様々

な言葉も生まれていますね。

代表的な「弁慶の立ち往生」。

義経が兄源頼朝に追われて、藤原泰衡に衣川の館を攻められた際、弁慶は並み居

る敵兵を次々倒すが、ついには無数の矢を受けて仁王立ちのまま息絶えたと伝え

られています。進退窮まることの喩えとして使われています。

また、「弁慶の泣き所」。

向こう脛は、皮膚のすぐ下、骨のすぐ上を神経が通っているため、非常に痛みの

強い急所であり、弁慶ほどの豪傑でもここを打てば涙を流すほど痛いとされてい

ます。アキレス腱とともに急所の代名詞としても用いられています。

「内弁慶」という言葉もありますね。

家の中では強気になって威張り散らすが、外では意気地が無くおとなしい人間の

事を指します。反対に「外弁慶」という言葉も使います。

弁慶の大柄ですべてを跳ね除けるような強さを喩えて作られた言葉。江戸時代、

菩薩様のような存在として、悩みや苦しみから救ってくれ、清められるような人

物像であった義経よりも言葉として残っているのは面白いですね。

それだけ、親近感のある人物だったのかもしれません。

私が思う弁慶は、心優しく、頼もしい人。ちょっと不器用は、平安時代だからよ

かったのかな〜・・・なんて。いつの時代も「勧進帳」の人気が衰えないのは、

弁慶の人柄だからかもしれませんね。

「勧進帳」にご興味ある方は、ただ今新橋演舞場にて公演中。よかったら、お出

かけ下さいね。

 

 

 

 

 

   

   

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