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◇◆◇[紅花]◇◆◇
日本の染料素材にも色々あるけれど・・・
昔から受け継がれてきた染めには、他にない良さがある
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「紅花」、黄色のキレイな花、色々なことに役立っている花。
私たちの祖先が、大切に守ってきた「紅花」は・・・今
今回は、本物の色とは・・・「紅花」をお届けします。
「紅花」とは、黄色から赤になる花を咲かせるキク科、耐寒性の 1年草です。秋 に種をまき、夏に花を咲かせ、花弁から染料や口紅の素になる色素が取れるので、 昔から南西アジア・北アフリカを中心に広く栽培されてきました。
原産地のエジプト・地中海沿岸からシルクロードを経て、中国に 3世紀頃に伝わ り、飛鳥時代( 6世紀末)に渡来してきました。昔は、「末摘花(すえつむはな)」、 「紅藍(べにあい)」、「久礼奈為(くれない)」、「呉藍(くれあい)」と呼ばれ ており、それぞれの意味は下記の通りです。
「紅花」とは、一般的な和名。「紅花」から採れる色彩なので、赤い色や口紅のこ とを「紅(べに)」といいます。
「久礼奈為」や「呉藍」は、万葉集などにもありますが、古い和名のこと。
「呉藍」 とは、代表的な染料作物「藍」に例えて、中国の呉の国から伝わった染料という 意味を持っています。「紅(べに)」を「紅(くれない)」と読むのも「紅花」から きた言葉です。
「末摘花」も万葉集にありますが、「紅花」の花摘みの情景から付いた名前。花摘 みのときに茎の頂にある天花を摘みとるためという説。外側(末)の開いた花弁 から順に摘んでいくからという説があります。この名前は源氏物語にも同じ名前 の段がありますね。鼻の頭が赤いことをからかって「紅花のように末に赤い花 (鼻)」というところから付いた名前です。
「紅花」には、棘(とげ)のある物と棘の無い物がありますが、染料には棘のあ る物が使われます。日本の産地で有名なのは、山形県。室町時代末期に伝えられ たと考えられています。江戸時代の中期を境に最上川流域(出羽最上)で急速に 栽培が拡大したとのこと。県の花にも指定されています。
山形の言葉に「紅花」の開花時期を表す「半夏(半夏生(はんげしょう)の略) の一つ咲き」という言葉があります。半夏生とは、七十二候の一つ。夏至から 11 日目、現在の 7月2日頃にあたります。その頃、山形では「紅花」が一輪だけぽ っと咲くことから生まれた言葉です。 その日を境に「紅花」は次々と花を開き、花畑を紅黄色に染めます。紅味がかっ た黄色は、咲き始めの色。次第に紅色に変色していきます。染料や口紅の原料は 咲き始めの花が良質とされています。
「紅花」の花弁は、紅色と黄色の色素を持っています。摘まれた花は、水溶性の 黄色素を抜くことから作業が始まります。黄色素を抜くほど、紅色が増していく ため素足でもみだして品質を高めます。もみだした後に発酵の工程に映り、黄色 素を抜いた花弁を木枠に敷いた莚(むしろ)に広げ、それに濡れた莚を被せて発 酵させ、紅色の発色を促進させます。 発酵によって粘りの出た「紅花」を臼に移し、餅つきと同じ方法で、杵で搗いて 餅状にします。これを少しずつ丸めて莚に並べ、その上に莚をかけて、素足で均 等になるとうに踏んで煎餅のようにのばして天日で乾燥させます。こうしてでき たものが、「紅花餅」。幾つもの工程を経てできるため高価なのです。
今では、手間のかかることは敬遠されてしまう傾向があり、中国製の安い「紅花」 や化学染料に押され、日本古来の「紅花」が少なくなっていますが、こうした技 術はいつまでも守っていきたいものですね。
日本の色とは、日本の土から生まれ、日本で育ち、そして日本の水によって染め られたもの。日本の風土にあっているから、美しく輝いているのではないでしょ うか。私はそう信じていたいと思います。
◇◆◇ [紅花]といえば何を思い出しますか ◇◆◇
「紅花」といえば、やはり「紅花染め」ではないでしょうか。 かつて、紅餅作りのときに生じる黄汁などから一般庶民の染め物をし、高貴な人 しか着る事を許されなかった「紅花染め」。京都から持ち出すことも許されていな かったといいます。
また、紀元前 2500年前のエジプトのミイラにも「紅花染め」 の布が巻きつけられていたとか。 実は、「紅花」は、色づけのためではなく、虫除けに使われていたのです。 「紅花」の色素にある、虫のつかない「黄色素」。葉や顎にはアブラムシがついて も花びらには虫はつかないそうです。そのため、日本でも正倉院に保存されてい る経巻は防虫効果の目的で紙に「紅花」の黄染めになっています。 そんな昔から、防虫効果を知っていたことにも驚かされますね。
さて、「紅花(こうか)」は、薬効としても古くから使われてきました。古代ロー マでは、種子から搾り取った油を緩下剤や促乳剤として利用。インドでは、種子 油を痰や尿砂石排出、排尿困難の治療に使い、虫刺されや皮膚病、リューマチに 外用し、花は煎じて麻疹や子供の皮膚病に使われているのです。また、中国では、 花を産後の血行不良などの血の道症に使われているとか。 日本でも血行をよくし、冷えから肌を守る働きがあると昔からいわれてきました。 また、武士はキズ薬としても使っていたそうです。食事前に紅を下唇に塗ってい たのも薬効があったからのこと。 「紅花」は、食用油として使われていることも理由があったのです。 今まで、深く考えたことはありませんでしたが、昔から使われてきたものには、 それなりの理由があったからこそ、守られてきたのですね。
「紅花」が、いつまで も日本の色として、生薬として、そして食用として守られていくことを願うばか うばかりです。いつまでも、日本原産で・・・
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