日本古来の行事や文化、伝統、風物など 日常の中にそこはかとなく感じる「和の心」を |
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---------------------------------------------------------------------- ◇◆◇[切子(きりこ)]◇◆◇ 「切子」、女性の名前ではありません。 夏のおもてなし料理の演出に欠かせないもの・・・ ---------------------------------------------------------------------- 「切子」には、「江戸切子」と「薩摩切子」がありますね。 夏の器として、何気なく使っているものだけれど、日本の技術が凝縮されたもの。 今回は、もっと美しさを活かして、「切子」をお届けします。 「切子」とは、ガラスを削って文様を浮かび上がらせたカットガラスのこと。 カットガラスとは、吹きガラス(溶けたガラスをパイプに巻きつけて、息を吹き 込んで形を形成するガラス製法)とは違って、ガラスが冷めてから模様を削り、 磨いて形を作り出す方法で作られています。 ガラスの誕生は、紀元前 3世紀から2世紀前半期に、西アジア及びエジプト・ エーゲ海沿岸で作られたことが始まり。日本に伝えられたのは弥生時代のことで す。以外にも早い時代に日本に存在していました。福岡・佐賀・山口で出土が認 められているので、すでに生産していたようです。 しかし、あくまでも神仏に奉げるものとして・・・玉としてのガラス。祈りの象 徴、宝物として扱われていました。奈良時代には、遣唐使によって外国のガラス ももたらされるようになります。今でも、正倉院には「紺瑠璃杯」や「白瑠璃碗」 などが残っています。「瑠璃」とは、中国語が語源で「ガラス」のこと。江戸時代 になるまで、容器としてのガラスを見る事もなかったようです。 日本人が、容器としてのガラスを知るのは、江戸時代・・・西暦 1549年、フラン シスコザビエルが来日したことによってでした。ヨーロッパのガラスを最初に手 にしたのが、山口の戦国大名・大内義隆。ザビエルから布教のお礼として、ガラ スの器・鏡・眼鏡を贈られたのでした。そう、生活道具のガラスを知った瞬間で す。しかし、器としてのガラスを作ろうとはなかなかいかなかったようです。 なぜなら、容器として使える材料がなかったから・・・そして、器としては、日 本に沢山の陶器があったから。なにも壊れやすいガラスを作る必要はなかったの です。外国によってもたらされた「ガラス」。江戸時代には「びいどろ」「ぎや まん」と呼んでいた「ガラス」。「びいどろ」はポルトガル語の「 vidro(ガラス の意味)」、「ぎやまん」は、オランダ語でダイヤモンドの意味。ヴェネツィア ガラスやボヘミアンガラスといったガラス工芸品が珍重された時代でした。 時代は、幕末。やっと日本にも誇れるガラス工芸品が誕生します。 それが「切子」です。 日本に初めて「切子」が誕生したのは、西暦 1834年。加賀屋久兵衛が、江戸大伝 馬町で金剛砂を使ってガラスを彫刻。切子細工の方法を工夫したと伝えられてい ます。今でも、加賀屋の 1枚刷りのカタログが残っているのですが、和物・唐物・ 蘭物が入り混じって描かれているようです。これが「江戸切子」です。素材は、 透明なガラスと色被硝子(一ミリ以下の色を被せたガラス)でも色を薄く被せた ものとがあります。カットは深く鮮明で正確であり、仕上がりがはっきりとして 華やかなのが特徴。 江戸切子 → http://www.kimono-maruya.com/mv/?80 「薩摩切子」は・・・といえば、西暦 1846年に城下に製薬館と硝子製造所を作っ たことが始まり。 薩摩藩第 28代藩主・島津斉彬(なりあきら)は、ガラス製造に情熱を傾け、江戸 日本橋の加賀屋久兵衛の弟子・亀次郎を薩摩に招き、本格的に薩摩でガラス製造 を手がけたのです。 「ヨーロッパのどの国にも引けを取らない、ガラス工芸品を薩摩で作りたい!」 という夢を持って・・・ その情熱が実り、やっと紅色ガラスの製造が成功し、続いて、藍色・青色・紫色・ 緑色の発色にも成功したのでした。こうして、「薩摩切子」が誕生したのです。し かし、「薩摩切子」は、西暦 1858年の斉彬の急死によって、莫大な投資が藩を圧迫 しているとの理由で工場が縮小・閉鎖に追い込まれます。それに追い討ちをかける ように西暦 1863年の生麦事件に端を発した薩英戦争で工場は焼失。その後、なんと か細々と続いた技術も明治10年の西南戦争によって完全に消滅してしまったので す。 現在の「薩摩切子」が復興したのは、なんと昭和 61年になってからのこと。現在 の島津家によって、実に 120年ぶりの復元されたのでした。 「薩摩切子」の特徴は、「ぼかし」。 透明なクリスタルガラスの上に厚みのある色ガラスを被せて、角度の浅いカット を施すことによって、被せた色と素地の透明色から生じるグラデーションのこと です。 薩摩切子 → http://www.kimono-maruya.com/mv/?81 さて、皆さんは、どちらの「切子」がお好みですか? 女性的な「江戸切子」・・・それとも男性的な「薩摩切子」・・・?
◇◆◇ [切子]といえば何を思い出しますか ◇◆◇ 「切子」といえば、夏料理にぴったりの食器。この時期、どうしても暑さで食 の進まないことが多いのですが・・・器ひとつで涼しさを演出でき、ちょっとし た料理でもおもてなし料理に早変わりする事ができるので、とてもお気に入りの 器です。 食べ物というのは、本当に不思議なものですね。 同じナスの料理でも、ガラスの器に盛れば夏らしく、備前焼の器に盛れば冬らし くなってしまうのですから。その時々の気分、気候によって、料理の内容によっ て、器を換える楽しみ。料理する楽しみのひとつです。 同じ「切子」でも、「江戸切子」と「薩摩切子」では、雰囲気も違いますね。私は、 冷酒用には男性的な「薩摩切子」。器としては、女性的な「江戸切子」・・・と、 贈り物の時には、その方の雰囲気によって選んでいます。光り輝く「切子」の楽 しみは、光を当てて観賞する楽しみ・・・そして料理を盛って、お酒などを注い で観賞する楽しみと二通りあるような気がします。 ヴェネツィアガラスのもボヘミアンガラスにも負けない、日本の伝統工芸「切子」、 いつまでもその輝きを絶やさないようにしたいですね。
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