日本古来の行事や文化、伝統、風物など 日常の中にそこはかとなく感じる「和の心」を |
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---------------------------------------------------------------------- ◇◆◇[つばき]◇◆◇ 「つばき」は、漢字で書くと、「椿」「海石榴」・・・ まだまだ、あるんですよ、漢字の「つばき」。 ----------------------------------------------------------------------
「つばき」、その種類の多さ、四季折々に咲く花。 茶人にとっては、欠かせない花、「つばき」。 今回は、日本人が愛している花のひとつ、「つばき」をお届けします。
「つばき」の歴史は、とても古く、約五千年前といわれています。 といっても、「つばき」の花を楽しんでいたわけではないのです。 「つばき」に関するこんな言葉を聞いたことがありますか? 「一樫二茱萸三椿(いちかしにぐみさんつばき)」 これは、材質の堅さの度合いを言ったもので、一に樫、二にグミ、三につばき、 ということ。 昔から、人々は、「つばき」の堅さを知っていたのでしょう。 福井県の三方五湖の鳥浜貝塚から、縄文人が使っていたと思われる「つばき」 の木で作られた、「石斧の柄」や「櫛(くし)」が見つかっているのです。 衝撃に絶えなければいけない斧、折れにくいことが求められる櫛、どちらも材 質の硬い「つばき」だから使われたのです。 現在でも、印鑑やパイプ、将棋の駒などに「つばき」は使われています。 また、中国・四国・九州・沖縄では、「つばき」のことを「カタシ」と呼んで いたのです。もちろん「堅し」ということ。 「つばき」の最も古い名前ではないかといわれています。
「つばき(椿)」は、「春の木」と書きますね。 これは、「春に花が咲くこと」から付けられた日本の国字です。 万葉集にも「椿」という字をつかった歌が4首あります。 そのひとつ3222番では、「椿」を春の神木として描いて詠っています。 「三諸(みもろ)は人の守(も)る山、本邊(もとべ)は馬酔木(あしび)花咲き、 末邊(すえべ)は椿花咲く、うらぐはし山そ泣く兒(こ)守(も)る山」 意味は、「みもろの山(三輪山)は、人が大切に守っている山。ふもとの当た りには、一面に馬酔木の花が咲き、頂きの辺りには、一面に椿の花が咲く。本 当に美しい山。泣く子供をあやすようにみんなが大切にする山だ。」という事。 神のこもる山に咲く花が「椿」だったのです。
中国にも「椿」という木はありますが、「香椿(チャンチン)」と言って、日本 の「つばき」とは全く違うもの。 香椿の画像 → http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/chanchin.html 中国では、「つばき」のことを「山茶花(さざんか)」といいます。 古い名では、「海榴」。「海石榴(つばき)」の略です。 「海(海外から伝わってきた)の石榴(ざくろ)」という意味です。 日本の「ヤブツバキ」を指していますが、「海から渡ってきたザクロ」とは、 また不思議なことをいいますね。 これは、ザクロが中国では果樹よりも観賞用の花木として鉢植えにされていた ために、硬い石のような実に赤い花をつけるザクロと、硬い実に赤い花をつけ る日本から伝わった「つばき」=「ザクロ」で「海石榴」と名付けたのです。 そして、「海石榴」は、「日本書紀」を始めとし、万葉集でも5首詠われている のです。 そのひとつ、3101番。 「紫は 灰さすものぞ 海石榴市(つばきち)の 八十(やそ)の衢(ちまた) に 逢へる子や誰れ」 意味は、「紫に染めるには灰を加えるもの。その海石榴市(現在の奈良県桜井 市金屋付近)の道で出会った子は誰ですか。」という事。 この歌には、紫色に染める時には、「つばき」の灰が媒染剤として使われてい たことがうかがえます。「つばき」の生える市であったことの証明です。
「つばき」の語源には、まだまだあります。 「つばき」の葉に特徴があることから、光沢のあるという古語の「ツバ」から 生まれたという説、また、艶葉木(つやばき)から生まれたという説、葉が厚 いことから「厚葉木(あつばき)」から生まれたという説。
万葉集では、同じ「つばき」を幾つもの漢字を使って表現していました。 使われている漢字によって、意味がきちんと分けられていたのですね。 常に青々とした葉である「つばき」、今がちょうど花の見頃です。 春の風に誘われて、出かけてみませんか。「つばき観賞」へ。
◇◆◇ [つばき]といえば何を思い出しますか ◇◆◇
「つばき」といえば、やはり「茶花」を思い出します。 昔、少しだけ「お茶」を習ったことがあったのですが、今まであまり気に留め ていなかった、「つばき」の存在。 こんなにも、「つばき」には種類があり、四季折々に、見ることができること に、びっくりしました。
小さい頃から、自宅の庭で、学校の校庭で、見てはいたものの、「つばき」 の種類なんて気にも留めたことがなかったのです。 その違いは、せいぜい花びらが多いか少ないかといった程度。 普段、生活している中で、興味がなかったり、気に留めることがないと、見過 ごしていることがいかに多いかが、よくわかりますね。 世界には、実に6000種類もの「つばき」があるんですよ。
「世界?」と驚かれた方もいらしゃるかもしれませんが、「つばき」は、世界 で、ブームを起こした日本原産の植物なのです。 「つばき」が、ヨーロッパに紹介されたのは17世紀の末。 英国東インド会社び医師ジェームス・クンニンガムが中国で採集した標本を英 国に送ったことが始まり。 同じ頃、長崎に滞在していたオランダ東インド会社の医師エンゲルバード・ケ ンペルは、「廻国奇観(かいこくきかん)」(西暦1712年)の著書の中で「日 本植物誌」として、「つばき」の絵と植物名、そして漢字の「椿」を記してい るのです。 「つばき」のブームは、フランスの作家アレキサンドル・デュマの「椿姫」に も代表されます。 オペラでも有名ですね。 詳しくはこちら → http://www.tvz.com/opera/tubaki/tubaki.html
ヨーロッパでは、華やかな「つばき」が品種改良によって生まれ、人気があり ます。 その反対に、日本では、茶の湯の発展により「侘び」「寂び」の精神からか、 自然のままを好むからか、「侘び助」のような、一重の「つばき」が好まれて いるようです。 私も、「侘び助」が好きで、庭に種類の違う3本を植えています。 侘び助の画像 → http://www.jttk.zaq.ne.jp/badjv509/hana/tubakika/2540.html 江戸時代、武士の間では、花首からすっぽり落ちることから、「武士の首」と 結びつけられて嫌われていたようですが、人気があった反面だったようです。
今では、「つばきのない寺はない」と言われるほど、お寺には「つばき」が 植えられています。 東には鎌倉、西には京都、今年の春は「つばき」から花見を始めませんか? どんな種類の「つばき」が咲いているか、捜してみるのもいいかもしれません。 もちろん、片手には「つばき図鑑」を持って! つばきの本棚 → http://www8.ocn.ne.jp/~novalis/camelliabookshelf.html
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