●越後上布麻織物の一種。新潟県小千谷市、十日町、塩沢町に古くから伝わる平織の麻織物の総称。上布とは上等の麻布の意がある。本製品は苧麻を用い手紡の糸で織るが、絣柄はくくり絣の方法で行われ、最も古い居坐機で織られる。現在は機械紡績の苧麻糸がほとんどである。織りあがった布は雪晒をするが、これは日中、雪の上に布を広げて晒す方法で、越後上布独特のものである。雪のため長い農閑期のあるこの地方の人々の冬期の仕事である。
●塩沢紬細かい十字絣で端正な模様を織り出した高級絹絣織物。小さい縮みしぼさがさらりとして、着心地のよい織物である。板締めで絣糸を染め、手機で織られている。戦前は藍、茶、黒、白の濃淡の色遣いで、男物の着尺地が多かったが、現在では女物のほうが多く、赤系の色も用いられている。
●小千谷縮苧麻を手績み(てうみ)した糸を使い、伝統的な技法で織った麻織物。古くから織られていた上質の麻織物「越後上布」に、緯糸に強撚りをかける明石縮の技法が江戸時代に入って取り入れられ、しぼのある麻織を織り出したのが始まりとされる。織り上げた後、雪の上に広げて漂白する雪晒しで仕上げる。夏の着尺地に用いられる。
●片貝木綿古くから織物の里で知られる小千谷地方ですが、片貝では江戸後期に縞木綿が織り始められました。藍染や、当地特有の松煙染のほか、植物染料で糸を染めます。現在では機械を利用して価格を抑えながら、手織りと同じ感触になるよう糸使いを工夫するなど、古来の味わいを保っています。
●山辺里平当初の山辺里村は村上町に近接していたので、村上平とも言います。男子用絹はかま地の一種で、縦、横糸ともに座操り糸を使用し、生糸のまま正藍染めにして織り上げたものです。風合い、着用の柔軟性ともにすぐれており、古くから有名でした。新潟県村上市が産地ですが、現在は五泉平と同様、生産はごく少なく限られています。古くは綾平・絽織などもかなりあり作られていました。
●十日町お召十日町お召は戦後の日本のきものの歴史に、一時代を画したといわれるほど知名のものです。染めと織とを見事な技術を伝統、新しい感覚で一つにとけあわし、創り出されたものです。このような十日町織物の歴史は遠く一二〇〇年飛鳥天平の時代といわれ、半年の間冬季積雪の中で山野に自生していた苧麻を積み、これを雪に晒して縮上布を製織した麻布は原料の自給と雪の恩恵によって漸次盛んとなり、越後上布として珍重されるよになりました。その後越後縮を経て麻から当時の新興繊維とみられる絹織物に転換し、透綾、絽、壁、風通と進歩の段階を経て明石縮となり、十日町小唄にも、「越後名物かずかずあれど、明石ちぢみに雪の肌…」と長く明石橋の全盛時代が続き昭和初年から師匠白生地を創案、副業が正業となり家庭工業はやがて近代工業へと移り時代の進歩と共に組織、染色、意匠に創意が加えられ、本格的高級織物産地として、お召、十日町小絣、縫取ちりめん等多彩な製品を織り出すようになりました。
●十日町小絣千年以上の歴史と織物の伝統を持つ十日町の最も現代風な絣の製品として、全国にその名を知られています。もともと素朴な絣柄に新しいセンスの色彩と柄をとり入れて、独自の作品を創り出しているところに、やはりその伝統の技と血筋があるように思われます。
●紺仁平織紬青藍は水に溶解しませんが、これを白藍とすればアルカリ液に溶けますから「藍だて法」によって藍ガメのアルカリ液中に溶解させ白藍として、これに糸や織物をつけ、そのあと空気中にさらせば白藍は酸化して、初め緑色からしだいに青色となり不溶性の青藍となります。−藍染はこの理を応用したもので、古くから使われ、特に亜鉛建は藍だて法の一つとしてよく用いられます。紺仁平織紬は阿波正藍、刈安、蘇芳、紅花などの植物性染料を主にした二〇〇年来その手法を伝承してきた越後片貝に産する風趣のある木綿紬です。
●まだ布藤布や麻布などと同様に、古くから山着や労働者など庶民の衣料として作られてきました。袋などにも作られて穀物や魚などを入れるのに用いられていたものです。しかし、原始的な手仕事のため、昔は各地で多くの生産されたまだ布も、今では羽越国境(新潟県、山形市)の山里にわずかに作られているだけとなっています。昭和四十二年四月、この原始的な紡織習俗が記録装置を要する無形民俗資料として国から選択されました。まだ布は(科布=しなぬの)とも書き初夏の頃内地・北海道では一般に「しなの木」といい、特に東北地方ではまだ、まんだ、もうだ等と呼ばれる木の皮を剥いで、灰汁で煮て薄く裂き、冬の農閉期に糸に紡ぎ手機にかけて織ったもので、アイヌのアッツシと同糸の物です。山形県の鶴岡方面でも盛んに作られていました。
◇見学できる工房(新潟) 新潟の十日町は、最近、特に高価になってしまった紬を安く生産しています。着物の歴史館もできました。
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